●「酒類の免許制度の大枠を知ることから、酒類免許への理解を深めていこう!」

免許に関する酒税法上の条文は、第7条から第21条まで規定されています。製造免許・販売業免許とも、およそ10個の切り口で条文が構成されていますので、どんな切り口で規定が置かれているのか押さえておきたいと思います。何事もそうですが、何かを習得するには、大枠(全体像)を押さえて骨組みを固めてから、細かなことを肉付けしていくのがセオリーです。今回はどんな枠組みになっているのかザックリご説明いたします。

まず1つめは、免許の取得義務と免許を要しない場合という規定が、製造免許・販売業免許、それぞれに設けられています。どんな場合に免許が必要なのか・必要ではないのか、どんな申請をするのか等、酒税法の本法以外に、施行令(政令)・施行規則(省令)・法令解釈通達などに詳細に規定されています。

2つめは、法定製造数量の規定が設けられています。最低製造数量基準と言ったりします。製造免許の申請をするときは、製造見込み数量を記載します。当然、法定製造数量以上の記載がなされていないと製造免許は付与されません。例えばビールの場合、年間60㎘以上の製造が見込めるときに免許が付与されることになります。

3つめは、免許の期限の規定がそれぞれ設けられています。販売業免許は、展示即売会などイベント会場で臨時の売店を設けるような場合、当然、期限が付されることになります。製造免許では、全くの新規の製造者で品質に充分な保証がないときなどは、いきなり永久免許は付与されず、免許期限が付されます。その後、更新し、既往3会計年度における品質審査結果を踏まえ永久免許への切り替えが判断されます。

4つめは、欠格要件の規定が設けられています。所轄税務署長は「こういう人(法人)に対しては免許を与えない」として、13個ほど、欠格要件が定められています。免許申請の際、重要なポイントになります。免許取得後も欠格要件に該当したら、免許の取り消しにつながりますので注意が必要です。

5つめは、免許の条件の規定が設けられています。製造免許はあまり細かな条件が付されることはないですが、試験製造免許は法定製造数量が適用されない代わりに、造り過ぎはNGということで、製造数量の上限が条件として付されたりします。販売業免許は、免許の類型によって酒類の範囲や販売方法が細かく付されたりしますので、よく確認しておく必要があります。

6つめは、免許の強制取消しの規定がそれぞれ設けられています。ウソの申請をしていたことが後で発覚したり、欠格要件に該当して不適格者になってしまったり、所定の年数以上製造や販売業をしなかったりすると取消要件に該当し、所轄税務署長の権限で免許が取り消されてしまうことになります。

7つめは、移転の許可の規定が設けられています。移転の場合、新規の免許取得と違い、許可という比較的簡便な手続きになっています。移転先の所轄税務署長から許可を受ける必要があります。

8つめは、免許の任意取消しの規定がそれぞれ設けられています。「もうここで事業をやらないので免許が不要になった」という場合、取消し申請をしなければなりません。事業をやめても申請が必要ですので、放置しないようにご留意ください。

9つめは、相続の規定が設けられています。相続人は、申告によって、被相続人が受けていた免許と同一の内容の免許を受けたものとみなされます。また、2020年4月の改正で、個人事業主が事業を全部譲渡する場合、申告で免許を承継できるようになりました。

最後は、免許の効力が消滅した場合の取扱いが規定されています。免許が期限の経過で自然消滅する場合、任意取消しで消滅する場合、強制取消しで消滅する場合などが想定されますが、いずれにしても免許の効力が消滅した場合には、直ちに製造行為や販売行為はできなくなります。そうすると半製品等の残ったものが無駄になったり、不都合が生じてきます。ですので、申請があった場合には、必要最小限の製造行為や販売行為を認めるといった例外措置を設けています。申請しないと認められませんので、もし免許が消滅した場合は、この規定を確認してご対応ください。

以上、免許の条文を10個の切り口からお伝えしました。酒類免許に関して気になることがありましたら下記にご連絡ください。

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