●「酒類の免許制度の趣旨を知ることで、酒類免許への理解を深めよう!」

酒類の免許制度は、免許の種類や区分が多く設けられ、取扱いがそれぞれ違っていて、わかりにくいとよく聞きます。免許制度の背景や趣旨を知ることで、理解が少しでも深まるように、今回は免許制度の趣旨をお伝えします。

酒類に免許制度を設けている目的は、一言でいうと、「酒税の確保のため」です。酒税は税率が高く、今でも我が国の租税収入の中で重要な地位を占めています。ですので、酒税をとりっぱぐれないようにするため、強力に管理監督する必要があるのです。それぞれの免許について趣旨をご説明いたします。

まず「酒類の製造免許」ですが、酒類の製造ついて、何ら制限もなく、野放しにしておくと、経営基盤の薄弱な製造者が参入したり、製造者の乱立で供給過多となり、値引き乱売等が行われ、行き過ぎた競争になることが考えられます。そうすると、経営が立ち行かなくなる製造者が増え、酒税の確保が困難となるおそれが生じます。ですので、免許制度を設けて、製造者の乱立を防止し、不適格者が参入しないように制限する必要があるのです。

次に「酒母又はもろみの製造免許」ですが、酒母やもろみは「酒類」ではないものの、酒類の必須原料といえるものです。特にもろみは濁酒として飲用できますので、酒類の製造において免許制度を採る以上、酒類の密造を防止し、もろみが飲用された場合における課税の公平性を図るため、酒母やもろみの製造についても免許制度が採られています。なお、酢の製造については、アルコール発酵を伴いますので、もろみの製造免許が必要とされています。

次に「酒類の販売業免許」ですが、酒類販売業者は、酒類が製造場から移出されて消費者の手に渡るまでの流通過程の部門を担当しておりますので、酒類は製造しておりません。ですから、酒税を国に治める納税義務者ではありません。ただし、酒類販売業者は、消費者に酒類を売って、消費者から酒税込みの販売代金を回収するわけです。さらにそれを元手に酒類製造者に酒税込みの商品代金が渡っていくことになります。ですから、不適格な酒類販売業者がたくさん参入して、不当廉売などを行い、経営が立ち行かなくなると、その酒税が酒類製造者に行き渡らないで、結局、酒類製造者が酒税を滞納してしまうという事態になりかねません。そうならないように、酒類の販売業についても免許制度が採られています。

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