そもそも「免許」とは何でしょうか?一般に自動車の運転免許を思い浮かべる人が多いと思います。普段、あまり意識せずに使っていると思いますので、今回は少し掘り下げてみましょう。まず、法律用語辞典で調べてみると、以下のような記載があります。
【免許】
一般には許されない特定の行為を特定の者が行えるようにする行政処分。一般的な禁止(不作為義務)を解除する学問上の「許可」の意味で用いられる場合や、権利能力、行為能力等を新たに設定する学問上の「特許」の意味で用いられる場合があり、一定していない。
出典:有斐閣 法律用語辞典 第3版
免許は一般には許されない行為を行えるようにする行政処分、ということですが、どうやら2つの意味(許可の意味or特許の意味)で使われるケースがあるようです。では、酒類免許はどちらの意味で使われているのでしょうか?これについては、税務大学校(国税庁の研修機関)の『税大講本』に以下の記載があります。
酒税法に定める免許とは、行政官庁である税務署長の行政処分で、税務行政上の特別な必要性に基づいて、一般的に禁止している酒類などの製造や酒類の販売業を、特定の要件を満たした者に対して、その禁止を解除しようとするものである。したがって、免許を受けた者に新たな権利を設定するものではなく、単に不作為義務を解除するにすぎないものであるとされている。
出典:国税庁ホームページ 税務大学校講本
「一般的に禁止している酒類などの製造や酒類の販売業を、特定の要件を満たした者に対して、その禁止を解除しようとするものである。」とあるように、先の法律用語辞典で示されている前者(許可)の意味で使われていることがわかります。要するに、酒類免許は、禁止されている酒類の製造や販売業を解除する許可の意味であり、新たに権利を設定する特許の意味ではない、ということになります。言い換えると、酒類免許は能動的に主張できる権利ではなく、受動的に禁止の解除が認められた行政処分ということが言えるでしょう。実務上の必須知識ではないかもしれませんが、酒類免許の理解を少しでも深めていただければと思います。
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